2008年6月7日土曜日

スピード社水着で新記録連発

松田の大きな決断が、水着問題解決への大きな流れを作った。男子二百メートルバタフライ決勝。予選では所属するミズノ社製の改良水着を試したが、意を決してスピード社製のLRに身を包んだ。 ミズノからは正式な了解を得られぬまま。松田は「葛藤(かっとう)はあったし、最後まで迷った」と明かす。だが、「(LRは)世界のスタンダード。日本代表として最善を尽くすため、思い切った」と言う。 勇気ある賭けは、大成功に終わる。課題だった前半から独壇場となり、後半もスピードが衰えない。「すごく進む感じがした」という新体験の泳ぎは、山本貴司がアテネ五輪で銀メダルを獲得した時にマークしたタイムを0秒14短縮する日本新記録となった。 北島を指導する平井伯昌コーチは「松田君が日本新を出してくれて、みんなの後ろめたさがなくなった」と話す。松田を皮切りに、LRでの日本記録が続出。最後は男子百メートル平泳ぎで、水着の個人契約を結ぶミズノの了解を取ってLRを着た北島が、3年ぶりに自身の日本記録を更新してトリを飾った。 5月中旬に肩を痛めて本調子ではない北島はレース直後に苦笑したが、「これだけ記録がいいと、自信になる」の言葉は偽らざる本音だろう。「泳ぐのは僕だ」と日本語、英語、中国語で書かれたTシャツを着て入場した北島。選手をわずらわせてきた水着問題も、「LRの脅威」が明白になったこの日、「結論」が見えてきた